日本やまん中縦断サイクリング(山口県)
 本州西に残っている下関〜周南市鹿野の間を春のうちに走破しておこうと、出かけました。
第一日(3/18) 
 新幹線で新下関へ。広島で2時間近く待たされる。あらかじめ時刻表を調べておけば、新大阪を発車する次のヒカリと同じだと解るのに、行き当たりばったりの報いである。
 自転車を組み立て、11時出発。今日の目標はまだ行ったことのない秋芳洞あたりを目指す。県道34号線を北上する。何と云うこともない道である。
  

 菊川町で昼食。さらに北上して、豊田町楢原で国道435号線に入り、東に向かう。3時過ぎ、秋芳洞到着。さすがに、昔から有名な鍾乳洞だけあって見事である。
 秋吉の町(集落?)まで引き返し、食料を仕入れて、秋芳洞の方へ引き返すつもりが、90度方角を勘違いして、厚東川沿いに北へ走る。まあ、いいや。適当なところでキャンプしよう。集落の丘の上にある神社の境内でハンモックテントを張る。静かな夕月夜である。
 この日の走行距離:75km
第二日(3/19)
 7時出発。秋芳洞まで引き返し、秋吉台に登る。豪快なカルスト台地。ここでキャンプした方がよかった。

秋吉台カルスト
 秋吉台スカイラインを通り過ぎ、下ってゆくと絵堂という地名が目に入った。たしか、司馬遼太郎の小説だったか、「街道を行く」だったかで読んだ記憶がある。ちょっと寄り道しよう。土地の人に聞いてみると、ここは高杉晋作作った奇兵隊と、長州藩守旧派の合戦があったところで、集落のはずれに記念碑があるとのこと。説明によると戦死者は両軍併せて8名ということで、小競り合い程度の戦であったらしいが、この戦いが明治維新につながる第一歩であったことから歴史的には重要な意味を持つ場所だ。
 
  
絵堂戦跡の石碑                                満開のピンクのコブシ
 絵堂から萩に向かって、国道を北上すると、萩近くで阿武川に出会う。萩はすぐ近くであり、まだ行ったことのない町でもあり、ちょっと心が動くが、今回はパスして阿武川を上流に向かい、長門峡を目指す。阿武川なんて聞いたことがなかった川であるが、なかなかの大河で、ゆったりとした流れが美しい。桜も3分ほどは咲いている。
 阿武川ダム。水を満々と湛えて緑が美しい。
 
  
 
阿武川の流れ                      三分咲きの桜                            阿武川ダム
 やがて長門峡の下流の入口に到着。シーズンオフの平日とあって、人気がない。ここから5.5キロの遊歩道を自転車を押して進む。比較的整備された歩道であるが、崖に沿っての道で乗って走れるところは殆どない。奇岩怪石の続く渓谷はなかなかのものであるが、残念ながら上流に人家が多いためか、流れている水が汚い。2時間近くかかって、上流口に出る。ここは国道9号線である。道の駅でなかなか旨い蕎麦で昼食。
 
 
 
 
 山口線
 
  
 
          こぶしの花                           衛星通信基地                          菜の花
 菜の花の中の道を中国道に沿って荷卸峠へと上る。意外と苦しい。ダラダラと長く上るのが苦手だ。峠を下ると徳地の町。4時近い。スーパーで今夜の食料を仕入れる。
 テントサイトを探しながら東へ走り、木引峠を越える。雨粒が顔に当たるようになってきた。今夜は雨か。重源上人ゆかりの法光寺の境内の四阿でテントを吊らしてもらう。
 夜中、ものすごい雷雨。屋根の下のキャンプでラッキー。
 この日の走行距離:110km
第三日(3/20)
 昨夜の雨も上がっていが、寒冷前線の影響か寒い。
 一時間ほど走って、周南市鹿野に到着。これで今回の目的を達成した。
 二所山田神社。境内に三椏の花が咲いている。掃除中の宮司さんの話では、昔この辺りの農家は和紙を作らされ、山城和紙といって高価に売れたらしい。長州藩はこの収入で江戸藩邸の費用を賄ったとのこと。今も周辺の農家の家の周りには三椏の花が満開である。 漢陽寺。境内の用水の流れが清冽である。
 
 
             三椏の花                                        漢陽寺の水渠
 さて、どちらへ帰ろうか。津和野へ向かおう。
 国道315号線を北上し、分れて小峰峠へと上る。300mの登りだが、今日は快調に上れる。上るにつれて霧雨となる。風も強い。小峰峠。山口県と島根県の県境である。
 
 
                                          小峰峠
川沿いの下りはなだらかで気持ちよいが、強い向かい風で下りでもギアを落して漕がねばならぬ。 津和野までは、もう一つ峠を越えなければならない。少し強くなってきた雨の中、唐人屋峠に向かって最後の一登り。唐人屋。ここは昔津和野の殿様が、朝鮮戦役の時連れて帰った朝鮮の陶工に窯を築かせた場所だ。今は一軒の家があるだけの寂しい場所である。峠のトンネルを抜けて、冷たい雨の中を一気に下れば津和野の町。寒くて町の見物をする気にもなれず早々に列車に乗り込む。
 この日の走行距離:60km

                     津和野